大人

友人が10代で将来の夢を語る中、私は将来がまったく見えない青春時代をすごしました。

私は他人より大人になるのがだいぶ遅かったのです。

それは、自分が何者なのかがきちんと分かっていなかったから。

何が好きで、何が嫌いで、それがすべて母の判断によるもので、自分ではまったく分からなかったのです。

私が好きなものは母が決める。

嫌いなものも母が決める。

それは私の意見ではなく、すでに母の意見だということすら私には分かりませんでした。

しかし、その事に気付いてからは、

「早く自立したい」

そればかりが私を支配しました。

しかし、そもそも母は私の自立を許しませんでした。

結婚するまでは実家にいるのが「普通」、そう言われ育てられました。

結果30歳を過ぎるまで、私は実家暮らしを余儀なくされることになります。

家族はこういうもの、貴方はこういう人間という偏った価値観を植え付けられたまま、ずっと生活していたのです。

おかしいことには気付いていました。

ただ、何が正しいのか分からないまま、この状況を打破するには、私は結婚するしかないと思ったのです。

しかし、最初の結婚はただ家を出たかっただけで、上手くいくはずもなく、そもそもその結婚自体、支配者が変わっただけでした。

楽しい結婚生活を夢見ていた私は、いつの間にか痩せ細った自分を見て、愕然としました。

私は何をしているのだろう…。

涙が溢れました。

元夫との将来は、正直最初から想像がつかなかったのです。

2人で老後の生活をするなんて、考えることすら難しいことでした。

私は元夫を愛してはいなかったのです。

結婚生活は2年という短さで幕を閉じました。

私はその短い結婚生活で、元夫に料理を褒めてもらったこともお礼を言われたことも一度もありません。

実家もそうだし、結婚はそういうものだと思っていました。

2度目の結婚は正直、怖かったです。

また同じことを繰り返すのではないか、私は誰かと一緒に暮らせるのか。

しかし、心配とは裏腹に生活はとても楽しいものでした。

夫は私の料理をいつも最大限に褒めてくれます。

そして、「今日もありがとう」と毎晩お礼を言ってくれるのです。

それがたまらなく幸せなのです。

私にこんな幸せが訪れるとは、昔は考えられませんでした。

今は夫との将来をすぐに想い描くことができます。

この人と幸せになろう、この人を幸せにして、私も幸せになるんだ。

それはずっと昔からそう決まっていたみたいな、そんな感覚です。

私はようやく自分を見つけ、そしていつの間にか、自分の好き嫌いがきちんと分かるようになりました。

夢もあります。

だから、私は頑張れる。

これからも私は夫と愛猫と2人と1匹で幸せを築いていきます。

猫とごはん

人生を変える出会いは、そう何度もあるものではありません。


人との出会いは多々あれど、それが良い出会いか悪い出会いかは、後々分かるもので、出会ったその時に分かるものはなかなかないです。


ただ、私にはその出会いは運命でした。

あの日、私は小さな生命に出会いました。


片手にすっぽりおさまる小さな生命は、しっかりと鼓動を刻んでいて、その小さな仔猫に出会った時、感じたことのない感情が芽生えました。


私はこの子を守り、この子と共に生きよう、と。


猫を飼うのははじめてのことで、最初は手探りでしたが、色々調べて、どうすればこの子が幸せか、どうすれば快適に過ごせるか、そればかり考えました。


家猫は、飼い主が提供する食事で身体が形成されます。


栄養バランスや、健康を考え、どのフードが良いか、それは1番悩みました。


栄養価が高いとはいえ、猫が気に入ってくれるとは限らない。


高いフードが良いとも限らない。


最初は張り切って、1番高いフードを買いました。


しかし、フードが合わず猫はそれでお腹をこわしてしまったのです。


次にあげたフードは、食いつきが悪く残してしまう。


なかなか試行錯誤し、食いつきも栄養価も良い今のフードに落ち着きました。


他の猫が、喜んで食べるウエットフードは、なかなか食べてくれないので、日々の水分補給が今後の課題。


仔猫はすくすく元気に育ち、今や5キロオーバー。


この子は、食べたものでできている。


その時ふと思いました。


それは人間も同じ事だ、と。

油多めの食事ばかりではコレステロールが高くなるし、野菜ばかりでも栄養は偏る。


人間にも猫と同じ、総合栄養食があれば良いですが、人間は贅沢なので毎日同じ食事では飽きてしまいます。


高い食べ物だから良いかというと、そうでもないし、安くてもダメ。


人間は本当に面倒な生き物。


ただ、人間なら薬と思えば苦い粉も飲めますが、猫にはそれができないです。


不味いと思えば栄養価が高かろうが食べないし、美味いと思えば身体に悪いものも躊躇なく食べる。


だから、愛猫の健康は飼い主の手にかかっています。


私は自分への投資はかなり熟考しますが、愛猫への投資にはまったく迷いがないです。


この子のためにできることはしてあげたいし、快適に暮らしてほしい。


それが飼い主の役目だと思っています。


ペットも大切な家族の一員。


日々この子と共に、自分も慈しんで、健康的に毎日の食事をしていこうと思います。


この子は私の食事に対する考えを変えてくれました。


健康は日々の積み重ね。


どこかが悪くなってからでは遅い。


だから毎日の食事が大事。


ただ、お腹を満たすだけの食事は、健康にも良くないし、なによりつまらない。


楽しく、美味しく、健康に。


それが食事の基本だと私は考えます。