電話

定期的に親に電話をするのがなんとなく強制的になっています。

しなくても良い、したくないのに、しなければいけないと思うのです。

一種の強迫観念です。

私の話など一切聞かない母との電話は苦痛でしかありません。

母は私の近況を知りたい訳ではなく、自分の近況を知って欲しいのです。

昔、地元で私が通っていた心療内科の先生が、1度だけ母に会ったことがありました。

一言二言言葉を交わしたでしょうか。

後日先生が、

「あのお母さんだったら〇さん(私のこと)苦労してこられたでしょう?」

と、私に言ったのです。

さすがプロだと思いました。

一言二言で母の性格を見抜いてしまったのです。

そういえば、高校の担任の先生も母の普通では無いところを見抜いていました。

その話をしたら、夫も最初から分かったそうです。

誰から見ても普通では無い母は、私をどれだけ不快にさせているのか知りません。

その母と長年連れ添っている父も、母に洗脳されているのか、普通に見えて普通では無いのかもしれません。

あまり普通という言葉は使いたくありませんが、ここではあえて使いました。

私の両親はあきらかに他の人とは違いますから。

もちろん、十人十色、色々な人がいるのは分かります。

でも、それで被害を受けている娘がいる以上、私の両親は人と違うのです。

今は地元を離れられて安心しています。

地元は大好きだし、帰りたいです。

でも両親の側にはいたくない。

わがままですが、今はこの生活が最高に幸せなのです。

私が地元に戻りたくない理由

私のいとこは3人います。

父の兄であるおじの子供です。

遠方でなかなか会うことはできませんが、実家にはたまに連絡が来ます。

ある日、おじとおばが最近軽度の認知症を発症していると聞きました。

3人の子供のうち、長女はひきこもりで、仕事もせず実家にいます。

長男は結婚し、子供もいて、近くに住んでいます。

次男は、今は遠方に暮らしていて、帰ってくる気配はありません。

そう考えた時、1番頼りになるであろう長男が両親と長女である姉の面倒を見ることになるでしょう。

それを聞いて、私は「長男くん、大変だね」と母に言いました。

次の母の返事に私は言葉を失いました。

「子供は親の面倒を見るのが当然なんだから仕方ないでしょ」

私はひとりっ子で、もちろん両親の面倒を見るつもりでいました。

しかし、それを聞いて決心がゆらぎました。

あたりまえ?育ててやったんだから、面倒見るのが当たり前なの?

私の友人や、会社の人などに話を聞いた時は全員、「子供には絶対に面倒をかけたくない」と言っていたのを思い出しました。

親は子供の幸せを願うのだと勝手に思っていましたが、私の母はどうやら違うようです。

父は私には面倒をかけたくないと思ってくれているようで安心しましたが、父より母の方に決定権があるので、母は父の言うことなど聞かないでしょう。

薄情ですが、私が地元に戻りたくないのは両親がいるからです。

近くにいれば頼られるのは目に見えていますし、私の生活にも干渉してくるでしょう。

私は今の生活が気に入っています。

それを壊されたくない。

わがままは分かっています。

でも私の人生は私だけのものです。

今は両親元気ですが、そのうち、介護が必要になる時もあるかもしれません。

その時私はどうするのか、どうしたいのか、まだ答えは出ないままです。

知ることと知らないこと

はじめて強迫性障害と診断されたのはまだ実家で暮らしている時でした。


母も一緒に病院へ行き、先生に水道代がバカ高いと私が症状を言うより前にまくし立てました。


寡黙な先生が言った
「強迫性障害ですね」
の言葉は今でも忘れられません。


今は、うつ病や、ADHDなどの方に優しい世の中だとは思います。


でも昔は違いました。


ネット環境もそんなに普及しておらず、自分で調べることも難しかった世の中。


強迫性障害なんて、未知の言葉は自分ですら受け入れることは難しかったです。


ただ、この辛い症状に病名があることに何故か安心して、涙した記憶があります。


それから20年ほどずっと病院には通っています。


夫の転勤で地元を離れ、今いる土地でも通院していることは両親には伝えていたし、分かっていると思っていました。


しかし、ある日父に電話で言われたことに衝撃を受けました。


今私は、甲状腺の病院にしか通っていないことになっていたのです。


あんなに辛い思いをしていた、強迫性障害がないことになっていました。


治ったとでも思っているのでしょうか。


ちなみに両親は認知症ではありません。


おそらく両親の中で、強迫性障害なんて名前も覚えられない未知の病はなかったことにしたかったんだと思います。


正直症状を話しても分かって貰えないことは分かっているので、そのまま、両親には話しを合わせています。


分かってもらおうとは思いませんが、私が病院に通っていることは知っていて欲しかった。


でも今は私の強迫性障害が、両親の中で消えている分、何も話さずに済むので逆に楽です。


病気の事は自分にしか分からないから、誰にも言わない。


そう思って生きてきました。


今は夫が最大の味方で、最良のパートナーなので、すべてを打ち明けました。


夫は知る努力をしてくれています。


だから、とても気持ちが楽になりました。


今のこの生活がとても好きです。